ワンカラット
2025年8月復活
再上映不可能といわれたインディーズ映画の傑作が
30年の時を経て4Kリマスターで蘇る
映画「ワンカラット」は、映画制作グループ “伽羅” が、1995年に撮影を始めて、1997年に完成した作品です。自主制作の低予算映画でしたが、「命」という普遍的なテーマを扱っている現代にも通じる内容の物語です。
東京と横浜での単独上映、福井インディーズ映画祭での観客賞受賞やロンドン映画祭への出品など、自主制作映画としては注目を集めることのできた作品となりました。
撮影に使用した機材は、その当時の最高画質だったソニーのED-Betaビデオを使用しました。しかし、ハイビジョン画質が当たり前の現在では、鑑賞するには見苦しく通用しないものとなり、2007年の小規模上映を最後に封印されていました。
わたしが映画製作をするうえで、いつも考えていたことがあります。それは100年後も色褪せない作品を創り上たいということでした。時代に乗ることも大切ですが、鑑賞した時のその場限りでは無く「家に持って帰れる」作品を残したかったのです。しかし、そんな想いで製作した「ワンカラット」は、今となってはフォーマットが適合しなくなり、画質も通用しなくなるという、作品の中身とは別の要因で消えかかっていたのです。
そんな過去の遺物となっていた作品に新たなチャンスが訪れたのは、生成AI元年と呼ばれた2023年のことです。低解像度の動画を4Kに変換するという魔法のような技術が生まれたのでした。この技術を活かして「ワンカラット」を4K化することができないかと模索を始め、かつての完成作品を4K化するのではなく、元々の撮影素材を完成作品と同様に編集し直すことにしたのです。
そして、編集を通じて何度も作品を見直す中で「ワンカラット」が100年後も生き残ることのできる作品だと確信を深めました。
現代の技術で蘇った30年前の映画「ワンカラット」を大きなスクリーンで堪能していただく機会を作り、この映画に出会えるチャンスをもう一度つくること。それは意義あることだと感じました。
精魂込めて作り上げた映画「ワンカラット」をわたしの生活の場である大和の人々に観ていただき、作品に込めた想いをお一人お一人に持ち帰ってもらうこと、それを心から願っています。
監督 みかわこうじ